原点にして頂点…monotribeから続くガジェットシンセの血脈について思いを馳せる

原点にして頂点…monotribeから続くガジェットシンセの血脈について思いを馳せる

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登場人物

雨くん

雨くん

運営者の家に住まうラグドールの男の子。楽器や機材に対し抵抗はない。

  

monoちゃん

monoちゃん

monolith.BGMの案内人。安心安全の常識人。

原点にして頂点…monotribeから続くガジェットシンセの血脈について思いをはせる

もともとピアノが鍵盤楽器のスタートだった私がアナログのシンセに触れたのは何が初めてだっただろうと考えたとき、monotribeが初のアナログシンセで、かつガジェットシンセでした。

このmonotribeこそが現在のガジェットシンセカテゴリーの立役者ではないか、私は考えています。様々なガジェットシンセがかすかにですが充実してき始めた2024年、改めて向き合って触ってみたとき、2011年の時点ですでに完成されているな、と心底感じました。

今回はシンプルに単機で使用した動画を新たに撮影し、その奥深さを味わいながら、多種多様なvolcaシリーズに続くガジェットシンセの血脈に思いをはせてみようと思います。

雨くん

雨くん

某放送協会の番組冒頭みたいな語りからいきなり始めたなご主人…

monoちゃん

monoちゃん

本人的には思い出深くてノスタルジーもあるだろうから大目に見てあげて!笑

KORG monotribeとは

2011年5月に発売されたアナログガジェットシンセで、当時多くの電子楽器好きを魅了した「ELECTRIBEシリーズ」のアナログバージョンをコンセプトに開発されたアナログシンセです。深掘りする前にここに至る経緯について基本的な情報を見てみましょう。

monotoronの誕生

そもそもmonotribeを語るにはmonotoronを知る必要があります。発売当時、かなり話題になったmonotoronについて、あらためて見てみましょう。

monotron

片手に収まるサイズに、白黒反転リボンコントローラーをはじめ、ピッチorカットオフmodセレクトスイッチ、VCO、LFO、VCFを搭載したシンプルな構成の本物のアナログシンセ。フィルターはMS20と同じ回路を搭載。電池駆動可能、スピーカ内蔵。※画像はwikidataより

ワークシンセやPCM音源のシンセが当たり前になった世の中で、すたれ、高級メーカーの製品だけが残り「いいものだが高いもの」という印象が強かったアナログシンセ(主観です)。5000円くらいのアナログシンセの発売に当時皆さん目が点になったと思います。私も当時、「いやいや!これでアナログシンセの音が出るわけないじゃない!」と思って笑いました。すみません。

雨くん

雨くん

実際コンセプトが別にあったんじゃないの?

monoちゃん

monoちゃん

KORGファンならおなじみの開発部の坂巻さんやアナログリバイバルの立役者である高橋さんのインタビューなどを読む限り、私には「有名ブランドのものと比較するためではなくて、アナログシンセの遺伝子を絶やさないようにしよう」という意思を感じたよ

▼当時読んでた記事がまだありました!懐かしい!

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この初代monotronの発売を皮切りにKORGのアナログリバイバルは始まったと感じます。

バリエーション機も販売されました。

※こちらは今も販売されています。

テキスト情報

このmonortonの登場によるアナログ回帰の流れと当時一つの電子楽器の形として認知されていたエレクトライブシリーズを組み合わせたようなコンセプトで開発されたのがmonotribeだと、下記のインタビュー記事からも伺えます。

▼こちらもまだありました!高橋さんがお若い!笑

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つまりmonotribeとは

monotronが再燃させたアナログの遺伝子

エレクトライブで培ったシーケンスパフォーマンスの遺伝子融合

それが
monotribe

まるで当時の最高峰を詰め込みながら小型化させたローライ35のようだ‼
(ちなみにドイツ製テッサーレンズ仕様です)

雨くん

雨くん

でも、monotronを微妙やん!って嘲笑したのに何でその強化版であるmonotribeを当時ふつうに販売されていたタイミングで買ったんだご主人…

monoちゃん

monoちゃん

嘲笑って…!笑 単純にアナログシンセが欲しかったけど、よくわからないからシンプルな構成っぽくて安かったmonotribeを選んだみたいだよ!

monotribeの魅力

monotribeはKorgが2011年5月28日に発売したモノフォニックアナログシンセです。2万前後で売られていた気がしますが今思うととんでもない仕様でありえない金額です。

素敵ポイントを見ていきましょう。

アナログらしい太い音

とにかくシンセセクションの音色が濃く図太いです! 今現在ガジェットシンセでアナログモノフォニックな機体は数あれど、ここまで問答無用に音がいいのは、もしかしたらないかもしれません。

シンプルな構成のシンセ

波形は3種から選べ、フィルター、アンプ、EG、LFO、あのホワイトノイズとシンプルな構成で、入門にピッタリな仕様!

だから私も買ったわけですが、初めてがmonotribeだったからすぐにシンセの構造が理解出来たのだと思います。

MS20のフィルターを搭載

名機MS20と同じ12dB/octのローパス・フィルター回路を搭載している!このフィルターは滑らかできめ細かく、同時に凶暴。LFOをフル回転させるとまるでトリップしたかのような発信を聴くことができます。

今まさにスマホで適当に撮ってみましたがこれです(真顔)

しゅわしゅわ!個性的で美しすぎる唯一無二のサウンドです。

8ステップシーケンサー搭載

モノシンセ1基、キック、スネア、ハイハットの4トラックシーケンサーです。(ドラム系は音作りできません)

アップデートで16ステップもできるようになりました。

ACTIVE STEP機能とFLUX機能

ACTIVE STEPでステップを抜いたりしてループに変化を加えることができます。また、FLUXでクオンタイズ1のオンオフができます。

GATETIMEボタンとACTIVSTEPボタン

各シーケンサーに記録された音を、このボタンを押しながらリボンコントローラーをなぞることでステップごとの出音の長さや音量を変化させることができ、ステップに記録することもできます。これでかなり多彩なフレーズが作れます。

THE.パフォーマンスシンセ

他のアナログシンセのような、より細かく深い操作ができるかといえば否です。

触っていて思うのですが、おそらくこのシンセはあくまでパフォーマンスシンセであるということに全力で振っているためそこは求めてはいけないのです。

その場で適当に打ち込み、ノブをねじる…。FLUXで微妙にフレーズを変化させ、GATETIMEをいじって記録して、ノブを絶えずねじる…。ACTIVE STEPで任意にその場で瞬時に選択して抜き差し、ノブをねじる…。

パフォーマンスシンセとしては、プロトタイプにして完成形かもしれない。

SYNC、電池駆動可能、スピーカー搭載

SYNC、電池駆動可能、スピーカー搭載の三点セット!volcaではおなじみのこれですが、当時は画期的だったと思います。この機能のおかげで私はどこに行くにも小学生のゲームボーイばりに持ち運んでました。

雨くん

雨くん

いつにもまして饒舌だなご主人…

monoちゃん

monoちゃん

これもノスタルジーだね!笑

演奏動画と各パラメーターの説明。(Version 2.1仕様を前提にしています)

簡単に動画を撮ってみました。ノブは縦割りにセクションごとに分かれているので左側から順に鳴らしてみて変化を撮ってみました。その後適当に入れたフレーズをもとに単機で即興演奏を2曲してみました。

各パラメーターの説明

動画内でも鳴らしていますが、各パラメーターの効果をテキストでも書いてみます。

VCO (Voltage Controlled Oscilator)

音の基本となるオシレータセクションです。

OCTAVE

  • 64’が最低音。
  • 2’が最高音。

WAVEセレクト・スイッチ

  • ノコギリ波
  • 三角波
  • 矩形波

RANGEセレクト・スイッチ

  • WIDE:ならせる最低音から最高音までを無音階で発音する。
  • NARROW:表示範囲の圏内でなめらかに発音する。
  • KEY:鍵盤の印刷通りに、音階がある状態で発音する。

NOISE

  • 右に回すほどホワイトノイズを加えることができる。

VCF (Voltage Controlled Filter)

オシレーターの周波数成分を削ったり強調したりすることで音の明るさや暗さをを調節するセクションです。

CUTOFF

  • カットオフ周波数を調整するノブで、左に回すと音色が暗くなり、右に回すと明るくなる。

PEAK

  • 周波数のピークを持ち上げ、サウンドにエッジを利かせる。高いままフィルターを下げるとシンセフィルターをいじった時に鳴る特有のサウンドを鳴らすことができる。

VCA (Voltage Controlled Amplifier)

音量や音の出方を調整するセクションです。

LEVEL

  • 音量です。右に行くほど大きくなります。

EGセレクト・スイッチ

  • ノコギリ波
  • 三角波
  • 矩形派

RANGEセレクト・スイッチ

  • DECAY:最大で音が鳴って減衰します。
  • GATE:音が鳴っている間最大が持続します。
  • ATTACK:徐々に音が大きくなり最大になったら持続します。。

LFO (Low Frequency Oscillator)

LFO は低周波のオシレーターで、フィルターや音程に動きをつけることができるセクションです。

RATE

  • 動きの速度を決める。右に行くほど早い。

INT

  • 動きの深さを決める。

TARGETセレクト・スイッチ

  • VCO:音の高さにLFOがかかる。
  • VCO+VCF:音の高さとフィルターにLFOがかかる。
  • VCF:フィルターにLFOがかかる。

MODEセレクト・スイッチ

  • FAST:LFOが速めにかかる。
  • SLOW:LFOがゆっくりめにかかる。
  • 1SHOT:LFOが半周期だけかかる。(GATETIME+5でS&Hに変更可能)

WAVEセレクト・スイッチ

  • LFOの動き方をノコギリ波、三角波、矩形波から選べる。

GATETIMEコマンド

GATETIMEボタンを押して行うコマンドです。

  • GATETIMEを押しながら鍵盤柄のリボンコントローラーを操作することで音の長さをステップごとに変えられます。また録音しながらやることで記録されます。
  • これに加えGATETIMEを押しながらシーケンサーのステップを押すと様々なショートカットコマンドが使えます。
  • GATE+1:シンセシーケンサー録音消去。
  • GATE+2:ドラムセクション消去。
  • GATE+3:全消去。
  • GATE+4:アクティブステップ解除。
  • GATE+5:1SHOTとS&Hの切り替え。
  • GATE+6:8ステップと16ステップ切り替え。
  • GATE+7:ゲートタイムの保持のオンオフ。
  • GATE+8:テンポをハーフにするののオンオフ。

ACTIVE STEPコマンド

ACTIVE STEPボタンを押して行うコマンドです。

  • ACTIVE STEPを押しながらステップボタンを押すとそのステップをシーケンサーが飛ばして走るようになりループの印象を変えることができます。
  • またACTIVE STEPを押しながら鍵盤柄のリボンコントローラーを操作することで音量をステップごとに変えられます。また録音しながらやることで記録されます。

まとめ

いや今回もかなりのテキスト量だった。

コピペしてないのえらい。えらい。えらい。

雨くん

雨くん

ご主人が好きでやってるんやん

monoちゃん

monoちゃん

動画撮影からここまでで8時間くらい続けてやってるからもう頭が回ってないみたい!笑

素晴らしいのは分かったけれど廃番なんだよね?

廃番です。

ごめんなさい。

雨くん

雨くん

いったい何がしたいんだご主人は!!!笑

monoちゃん

monoちゃん

い、一応中古もあるみたいだからリンクを貼っておくね!

今回紹介した機材は中古であればメルカリで割と適正な価格で売ってました!私ももう一台欲しい!ぜひ買って遊んでみてください!

ガジェットシンセで遊びたい欲が止められない方のために…

そんなあなたに!このmonotribeの遺志を継いでそれぞれ特化した形で生まれたのがvolcaです!

下記の記事でvolcaの初代組keysの魅力を深堀ってますので良ければご覧ください。

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発売から約10年。今更KORG volcakeysがすごいと気づくレビュー本サイトでは、アフィリエイト広告を利用、またはプロモーション記事が含まれている場合がありますコンテンツブロッカー……

また、初代組3機種があればmonotribeの超ウルトラアップデート版みたいな感じで演奏できます。3台つなげてあなたもシンセ沼にはまってみてはいかがでしょうか?

複数台つなげた場合のノイズ問題にアンサーを突き付けるような奮闘記も書きました。良ければこちらもいかがでしょうか。

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それでは皆さま良い機材ライフを!

おしまい

おまけ

もうだいぶ前の話ですが、MIDI端子がなかったため海外から改造パーツを取り寄せて改造してあります。この穴をあけるのにドリルが一本ダメになったのもいい思い出ですね…。(ノスタルジー)
  1. 録音のタイミングではなくシーケンスとタイミングに合わせる機能。 ↩︎
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